フランセの歩み

大きな仕事、小さな仕事、かかわり方も様々に、いろんな
仕事をしてきました。そのすべてが、今の自分の仕事への
考え、仕事の個性をつくってくれたのだと思っています。
そのなかでも、強くうけた影響や印象深い仕事のことなど
記しています。

1.マーケティング・ラボ・スタッフとしての活動
2.クリエイターとしての活動
3.ブランディングに特化した活動

1.マーケティング・ラボ・スタッフとしての活動
  某会社企画部門のラボルームのスタッフとして、広告
  やSPツール、パッケージなどの表現について調査や分
  析をしていました。
  たとえば住宅メーカーの広告宣伝物をつくるにあたっ
  て、競合他社との差別化をどう図るかという課題を前
  に、国内の主要メーカーのパンフレットを集め、商品
  群とコピー表現を比較。スペック類似の住宅が、広告
  の表現によってどのように違って見えているか。マー
  ケットコミュニケーションとブランドイメージの関係
  を検証しました。

  いろんな気づき、学びのあった仕事ですが、とりわけ
  印象に残っているエピソードを一つ。
  清涼飲料のパッケージ表現のリポートのなかで、色に
  ついて「青」という表現を使いました。それに対して
  リポートをチェックした部門本部長から、「青、とい
  う一言で表せる色はない」と書き直しを命じられまし
  た。「たとえば昼の空も夜の空も、青。北の海も南の
  海も、青。ここに書かれている「青」という言葉から、
  私はどのような色をイメージすればいいのか」と。な
  るほどと反省しました。後年、印刷物のディレクショ
  ンをする際に、色を色の名前だけでなく、その色で表
  現したい言葉でも考え伝えるようになりました。

2.クリエイターとしての活動
  言葉を表現の方法にするクリエイターとして、フリー
  ランスで活動。広告のコピー、本やデジタルコンテン
  ツの編集、アニメーションやドキュメンタリーフィル
  ムのシナリオライティング、インタビューと執筆…な
  ど。取材から情報の編集、ストーリーの構築、そして
  最後の文章まで、言葉を考え、言葉で表現する様々な
  仕事をしてきました。種々のジャンルのクライアント
  の仕事をしてきましたが、ボリュームゾーンは、教育
  機関、美術図書博物館などの施設、育児と衣食住のメ
  ーカーでした。

  なかでも今の自分に大きく影響していると思う仕事に、
  「育児書の編集・リライト」と、「某大学の歴史を紹
  介するアニメーションのシナリオライティング」があ
  ります。

  「育児書」の制作は、マタニティブルーや育児の不安
  に揺れるお母さんの心を考え、言葉一つひとつを選ぶ
  ことはもとより、文字の形大きさ、インクと紙の色や
  質、そしてお腹が大きくなった姿勢でも読みやすいペ
  ージレイアウトなど、その本を手に取るお母さんの姿
  を思いながら、何度も改良を加えていくという贅沢な
  仕事でした。この経験から、誰にどんな風に喜んでも
  らえるのかという問いかけを、仕事の根っこに置くよ
  うになりました。

  「大学の歴史アニメーション」制作の目的はブランデ
  ィングでした。取材から話の構成、シナリオ完成まで、
  クライアントである大学の精神と伝統をどう表現する
  かを一切任せてもらい、人の姿を描きました。大学で
  あれ企業であれ、理念を持ってそれを起し、受け継い
  でいるのは人である。だからその人の姿をつたえるこ
  とがブランディングである、というフランセの考えの
  ルーツがこの仕事だったように思います。

3.ブランディングに特化した活動
  ホテル運営会社の本社マーケティング部にブランディ
  ング担当マネージャーとして3年6ヵ月、勤めました。
  会社のクレドづくりや、ホテルを舞台にした物語集の
  執筆、マーケット・コミュニケーション・ツール制作、
  メディア対応などに従事していました。また各ホテル
  のマーケティングのサポートもしていました。一つの
  組織の一員として仕事をするなかで、クリエイション
  +マネジメントという貴重な経験を積みました。

  ブランドをお客様に直接届けているのは現場の人たち。
  ブランディングをするためには、現場に足を運び、そ
  の人たちの姿を間近に見ることがいかに大切かを実感。
  現場と近くに、という考えを育てられました。
  そして、たとえばひと皿の料理を紹介する時、いちば
  ん大切なのは、それを創る料理人の心と姿である。お
  客さまへブランドの誠意を伝えるのは、そこに他なら
  ない。日々の仕事の中で強くなっていった思いが、「
  ブランドは人そのものである、だから人をつたえる」
  という、フランセのコンセプトになりました。

イギリスの町かど、ヨークシャー、石畳の道